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Katsumi
本サイトの運営をしています。FUJIFILMのカメラと喫茶店と開高健の小説が好きです。

大磯、山側の原風景。

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月に一度、横浜から二宮まで妻と電車に揺られる。
目的はハンドメイド石鹸の教室。
帰りに隣の大磯駅で降りた。



大磯といえば大磯ロングビーチが有名だからか、海のイメージが強い。ただ、二宮と大磯に共通するのはJR東海道線の線路を挟んで「海側」「山側」に分かれる点だ。地場の不動産屋で物件を眺めていても「大磯 海側」「大磯 山側」のような表記で分類される。



大磯の海は写真を撮りに何度も訪れていたので、今回は駅周辺と山側を歩いた。

人が集まる手作りの町。


お店は海側の線路沿いに、ぽつぽつと立ち並ぶ。
コンビニやスーパーはあまりなく、個人で営むカフェやパン屋などが多い。




大磯は陶器でも有名。
年に一度、大規模な陶器市を開催している。陶芸作家のみならず、様々なジャンルの作家が大磯には多い。いわば、クラフトマンシップの町ともいえる。

文学の香りがする町でもある。

駅から少し歩くと、島崎藤村の記念館がある。
藤村が最期を迎えた屋敷が当時のまま姿を残す。

島崎藤村記念館




そのすぐ近くにある古民家カフェ「こゆるぎ庵」のタルトは季節ごとに通いたくなる味だ。

こゆるぎ庵の自家製梅タルト



かの村上春樹氏が大磯に住んでいるとの話もある。偉大な作家たちも引き寄せられるこの場所には、都心とは確実に時間の流れを異にする魅力がある。



聞くところでは、最近では作家や雑貨店、飲食店などが鎌倉から大磯・二宮に流れてきているらしい。インバウンドで賑わう鎌倉は、静寂を愛する人たちにとっては煩い場所になってしまった。


風が抜ける山側エリア。


駅をまたいで山側へ。


急な坂道を、体を引きずるように登っていくほどに、土の香りが濃くなっていく。竹の葉が頭上で風にざわめく。息が上がる頃、眼下には海が広がる。



どの道から入っても、急勾配は免れない地形だが、地元の人は皆涼しい顔で歩いていた。やはり「慣れ」なんだろうか。



山側は竹林も多く、頭上が緑で覆われているため、海側と比べてとても涼しい。訪れたのは初夏だったが、ともすれば肌寒いほどの天然のクーラー。




海側にもまして静かなエリアである。
人があまり歩いておらず、足音さえ吸い込んでいく静寂が道の奥に広がる。日本の古い家屋が多く、まるで隠された集落を見つけたようで高揚してしまう。



「移住を考えるなら、大磯の山側がいいよね」というのは私たち夫婦の一致するところ。秋にはまた違う表情の大磯を見にきたい。

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