横浜を走る京急線に南太田という駅がある。
急行の待ち合わせ駅になっており、各停に乗った時には発車まで永遠に待たされる。住宅街でこれといって特徴もない駅だが、素敵な喫茶店が何軒かあるというところは大いに評価できる。
今回はそのうちの一件、「カベー」に。
住宅街に突如として現れるノスタルジア
このエリアは本当にただの住宅街で、一軒家やマンションが立ち並ぶ。
マンションも新しくもなく古くもにないような、茶色い外壁の堅実で面白味のないものが並ぶので街に色がない。
そんな中、急に建物の間に窮屈そうに挟まっている可愛い喫茶店が現れる。
バーのような異空間
中に入ると、外とは断絶された空間が広がる。
バーのような内装でもあり、西洋風の置物がたくさんあるせいか、耳をすませばに出てくる骨董品屋のようでもある。ガラス越しに外が見えてるのに、ドアの内側だけ時代が違うかのような空間の広がり方が心地いい。
店内には常連さんらしきグループが2組。
いすれも高齢のおばちゃんで、店主(?)のおばちゃんと話し込んでいた。地元に愛される喫茶店ということがよくわかる。
ここのたまごサンドはオススメだ。
卵焼きが甘いのだけど、マスタードも少し入っていてるので甘さと辛さが絶妙に口の中で絡み合う。カベーに行くなら是非試してみて欲しい。
カベーがある「南吉田町」というエリアは、なんというか「ギリギリ治安の悪くない町」と言える。ここをもう少し大岡川に沿って関内側に進むと、伊勢佐木町や黄金町といった夜の街へと繋がっていく(それでも黄金町はアートの街として再生されてかなり浄化されたけれど)。風俗店やラブホのある通りが小学生の通学路だったりする、かなりぶっ飛んだエリアだ。
横浜市内では下町な感じが残る南吉田町。
熱気あふれる下町ではなく、どこか昭和の時代の夢から覚めないような気だるい空気感が私は好きでたまらない。