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Takaprex
本サイトの運営をしています。FUJIFILMのカメラと喫茶店と開高健の小説が好きです。

暮らしの中で、なじむ革。nasilaのオーダー手帳と「書く習慣」。

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朝、デイリー・リフィルに一日の予定を書き込む。手帳はすっかり生活の一部となり、一日・一日に輪郭を与えてくれている。最初は起毛感のあった革にも控えめな艶が生まれ、手に馴染んできた。書くことと革の変化。その両方が時間の流れを教えてくれることで、生活に幾分かの規律が生まれ始めた。

目次

ずっと使える手帳を探して。

昨年の秋に、手帳をオーダーした。
手帳探しの旅は、既製品ブランドの検索から始まった。アシュフォード、ファイロファックス、ノックス、ブレイリオ、etc.レザー系のシステム手帳の代表格は一通り手に取った。もちろん悪くはない。ただ、ずっと使い続けるイメージを持てない。どうにも飽きてしまいそうで購入には踏み切れなかった。




納得いくまで選ぼう。毎日使うものだから。




“一生モノ”というフレーズは高い買い物をする時に自分を鼓舞する魔法の言葉でしかない。「一生モノだし」と自分に言い聞かせて買った物たちはもう手元にない。ただ、今回は、ずっと使える手帳が欲しい。一生とは言わないけど。




2024年の初秋。伊東屋のシステム手帳サロンでも収穫はゼロで、肩を落としていた頃にnasila(ナシラ)を知った。群馬県を拠点に活動する尹亮二( Yun Ryang)さんによるレザークラフト・ブランド。Instagramに並ぶ作品はどれもハンドメイドの温かさと、プロダクトとしての気品をまとっていた。



それまで、個人のハンドメイドによる革製品はあまり好きじゃなかった。革がクタクタしていたり、ステッチの主張が妙に強かったりするのが苦手だった。だけど、nasilaの製品は素直に欲しいと思った。

はじめてのオーダー。待つこと4ヶ月。

初めての手帳のオーダーは幾分の緊張を伴う経験だった。表と裏の革、ステッチの色、金具。一つ一つ、サンプル画像を見て想像を膨らませながら決めていく。やりとりは全てインスタのDM。「DMのやり取りで決めてしまって大丈夫だろうか」という当初の心配も、丁寧なやり取りの前には杞憂だった。


注文から4ヶ月。黄色い手帳は私の手元に届いた日から、生活に輪郭を与え始めた。

手元に届いてすぐの頃の写真。表面は起毛感があり和紙のような手触り。
一番悩んだのは外側と内側の色の組み合わせ。

育っていく革。

表のイエローの革は、MARGOT(マルゴー)というイタリアのスクラッチレザー。意図的に表面を荒らす加工が施されており、最初はスエードのような起毛感があるが、使っていくうちに滑らかになり艶を帯びる。そのため、経年変化を感じやすい革でもある。

届いた時はイエローだった表面も少しづつブラウンに近づいている。オイルがしっかり入っているレザーなので手入れは今のところブラッシングのみ。

書くことで、整う。

2年前に「手帳で夢を叶える全技術」という本を読んだ。
それ以来、この手帳には毎日書き込んでいる。



1ヶ月の計画・1週間の計画・1日の計画を立て、振り返りをする(最近では、それをジャーナリングなどと呼ぶらしく、その方がカッコいいので私もそう呼んでいる)。



書き続けることで、浮かび上がってくる自分の生活の輪郭がある。そして、往々にして自分が思うほど効率的で規律のある生活を送っていないことに気が付く。「週2回ランニングをしている」と言い張っていたが、実際は平均1.2回くらいだった。資格の勉強を日曜日だけ頑張って、やった気になっている。そういう「ちょっとダメな自分」が見えてきて、妙に愛おしい。



「書く習慣」は、自分の暮らしを俯瞰して見る時間。自分の1日が、1週間が、1ヶ月がどうだったか。最初は計画とのあまりの乖離にがっかりすることも多くても、自分の実力値が分かってきて、無理のない計画を立てられるようになる。着実な一歩を積み重ねられる。わずかであっても日々前進している実感があれば、幸福度は高い。



書くことをサボる日もある。 完璧でなくとも、朝に一日を描き、夜に一日を振りかえる。その繰り返しが暮らしにリズムを生む。手帳には毎日書く。だからこそ、手に取るのが楽しみなものであってほしい。



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