今日はライカについて。
別にカメラ好きでない人でも一度くらいは名前を聞いたコトがあるはず。
アニメ・ちびまる子ちゃんのタマちゃんのお父さんのカメラ、と言うと分かる人もいるかも?
“とにかくお高いカメラ。よく分からないけど凄い性能のカメラなんだろーね”
少なくとも僕は写真を始める前はそう思っていました。
確かに、安くはない。中古でも10数万円からだし、新品で最新のモデルだと100万円を超えてきます。でも、性能がメチャクチャいいのか?というと、正直意見が分かれます。
高い割に、性能がメチャクチャ良いわけでもない。
そもそも写真なんてiphoneで簡単に綺麗に撮れる時代。
なのにずーっと愛されてる。
そんな不思議なライカの世界。
今日はそんな謎と魅惑に満ちたライカの世界を少しだけ。
ライカの歴史 = カメラの歴史
映える食べ物や、絶景を前にスマホで写真を撮る。
目的はさておき、とりあえず撮る。
写真を撮るという行為はまったく特別なものではなくなりました。
スマホの前はコンデジ。
その前はフィルムカメラ。形を変えながらも、「手に持てる小さなカメラ」は常にそこにあった。
この、皆が使う現在のカメラ(=小型カメラ)の原型はライカにあると言えます。
1920年代、ライカの最初の小型カメラが生まれます。
ライカの歴史はちょっと紛らわしくて、前身である顕微鏡メーカーの時代もいれると1849年頃まで遡るけど、ライカという名前が正式についたタイミングを起点にしても、もう100年も経つワケです。
それ以前にも「カメラ」はありましたが、それはプロ用のバカでかいものでした。
又、35mmフィルムという一般的な規格はライカの小型カメラから生まれたものです。
「カメラ = ライカ」
この図式の中でミノルタ、ニコン、キャノンといった日本のカメラメーカーの技術者は皆、ライカを目指して開発をしていた、と言われています。
ライカは何が凄いのか?
ライカって高いんでしょ?
でもさ、結局何が凄いの?
この疑問に客観的かつ明確に答えるのは、写真をやってる人にも難しい。
もしカメラの性能を「解像度」「AF(=オートフォーカス)の速さ」「感度」なんかで判断すると、ライカが必ずしも一番ではないワケです。
2021年12月現在、ライカの主力モデルM10は100万円くらいしますが、画素数はキャノンの50万円のカメラの方が高いし、感度も同等以上だし。雑誌などで撮るプロの商業カメラマンでライカをメインの機材として使っている人はかなり少数派です。
決して性能が悪いワケではないです。
重要なのはライカを買う人は「性能」にお金を払っているワケではない、という事。
その魅力はもっと情緒的でエモい。機材ではなく、相棒であり宝物。
ライカの魅力。
それは性能やスペックという物差しでは測れないものです。
あらゆる媒体で、ライカを使う写真家が様々な表現でライカの魅力に言及していますが、、、
“余計なものが写っていて、逆にそれが面白い”
by 藤田一浩
”体験した出来事をリアルに描ける。それはM型ならではの魅力なんだ”
by ブルース・ギルデン
“心地いい余白がある”
by 水谷太郎
なんかちょっともう分からないですよね(笑)。
これは、写真をやり続けていると何となく共感できる部分です。
ただ一つ言える事は、ライカを語る写真家で性能の凄さを語る人はいないという事。
CanonやNikonやSONYあたりのカメラは、とかく性能の切り口で語られます。
言い換えると、家電のような評価のされ方をします。
やれAFスピードがどうだ、解像力がどうだ、バッテリー持ち時間がどうだ、と。
これは車でも同じ事が言えるかもしれませんね。
トヨタ、日産、ホンダといった日系メーカーの車は、燃費やハンドル操作性、自動検知機能といった性能面で評価されますが、ロールスロイスだとかアストン・マーチンに対して燃費だとかオプション機能がどうだとか言う人ってあまりいない気がします。
その場の空気感や呼吸が伝わってくる写真。
ライカで撮られた写真は共通して、その場に漂う空気感みたいなものをそのまま伝えてくれる力があるように感じます。現代のデジタルの現実離れした綺麗さや、過度にアナログなエモさではない、リアリティのある情緒的な情報。
「高精細な写真 = 良い写真」
この前提に立ってしまうと、ライカの魅力は中々理解が難しいです。
そこから漂ってくる空気感や質感みたいなものに、どれだけ見た人が共鳴できるのか。
そういった視点に立った時に、得に古いフィルムのライカの魅力が分かってきます。
ライカが愛される理由にその不完全さがあります。
いくつか紹介しますと、、
まずライカのフィルムカメラはレンジファインダーという方式なのですが、細かい事を置いといてざっくり言うと、スマホやデジカメと違って、ファインダーを覗いた時に見える風景と写真が一致しないという特徴があります。スマホは画面に見えるものがそのまま写真になりますが、レンジファインダーの場合は明るさやボケ加減はファインダーの中の画には反映されないですし、レンズよりもちょっとズレた位置にファインダーがあるので、見ていた画とどうしてもズレます。
それに昔のライカにつけるレンズもやはり古いレンズが多いので、最新のカメラのようにシャープに綺麗に色が出るワケでもないですし、逆光耐性もないので、逆光で撮ると光がぶわー――っと広がったり。
つまり、意図しない結果が多い。
いや、ダメじゃん。
って思うかもしれませんが、実はそこがポイントで。
意図せず余計なものが写りこんだり、現像してみてたらピントあってなくてブレていたり、そういう曖昧さが写真には重要だったりもします。人の記憶は、最先端の高画質カメラで撮る画のように、明瞭ではありません。どこかボヤっとしていたりします。だからこそ、ライカの不完全さが共鳴するのだと思います。
何かよく分からない事を言ってるな、、、と思ったかもしれません(笑)
ただ、ライカで撮られた色々な写真を見て頂けると、すぐに分かっていただけるんじゃないかなと思うので、次回は自分が愛するライカ・フォトグラファー達を紹介します!